統合失調症

統合失調症は、幻覚や妄想、思考障害など多彩な症状が現れる病気です。10〜20代の比較的若い時期に発病することが多く、中年以降で発症するケースは少ないです。その症状は急激に現れることもあれば、時間をかけてゆっくりと生じることもあります。
かつて統合失調症は、精神病の代表のように見なされ、一度発症すると精神科病院に長期入院したり社会復帰できない病気のように受けとめられていましたが、社会状況の変化や薬物療法の進歩もあり、以前よりずっと軽症で経過の良い病気になってきました。

統合失調症の症状

幻覚:現実にはないものが感じられる感覚です。

統合失調症で生じる幻覚は、ほとんどが幻聴、つまりそこにいない人の声が聞こえてくる、という体験です。幻聴は、患者さんを脅かす内容が多く、悪口であったり、「外に出ろ」などと行動を命令するような内容です。
幻覚が生じる病気は統合失調症に限りませんが、統合失調症の場合、実際の声や音と幻聴を区別できないことも多く、患者さんが幻聴の「相手」と喋っている場合は独り言を言っているように見えることがあります。

妄想:現実にはないことを信じ込んでいる思考です。

統合失調症で生じる妄想は、ほとんどが被害妄想です。「誰かが後をつけてくる」「道ですれ違う人が自分を見て笑っている」「隣の人が自分を殺そうとしている」といった内容です。自分の考えであるのに人から「声」「電波」で命令されたかのように思うとか、他人が自分の体を操る・痛めてくるといった症状もあり、幻覚と妄想は混じり合うこともあります。

統合失調症の幻覚や妄想は患者さんにとっては現実ととらえられており、周りが否定すると逆効果になることもあります。統合失調症の患者さんが現実感覚を取り戻してくる(「病識」を得る)と、自分で「幻聴」「妄想」と言えるようになります。

意欲の障害:幻覚や妄想などの症状が無くなっても、何もしたくなくなり、仕事や家事ができず、部屋の掃除や入浴もできなくなり、人に会うことも嫌がり引きこもるようになります。うつ病と誤解されることもありますが、経験のある医師が診れば鑑別できます。

統合失調症の治療

統合失調症の患者さんは言葉で説明しがたい大変苦痛な体験をしており、そのために孤独に陥りがちです。患者さんはご家族さえも敬遠することがあります。まずは患者さんとの関係作りが大事です。患者さんを孤独にしないことが大切ですが、むやみに心の中に立ち入ることもいけません。幻覚や妄想などによる自傷などの危険な行動がなければ、基本は「そっと見守る」、「寄り添う」感じが良いと思います。患者さんは自分の「安全」がおびやかされているように感じているので、安全感を持ってもらえるような環境を整えることが必要です。入院治療を選択する際にも、そういう視点を持ちたいものです。
統合失調症においては、薬物療法が有効です。統合失調症の薬物療法では、「抗精神病薬」が中心です。抗精神病薬にはいろいろな種類があり、患者さんの病状によって量や種類を使い分ける必要があります。
統合失調症の症状は治るものですが、再発する怖れもあります。統合失調症の再発はもちろん患者さん本人にとって苦しいものですが、短期間に再発を繰り返すと物事の判断能力が低下する(認知機能の低下)ことがあり、再発の予防は大事です。人によって期間は異なりますが、1年以上は再発を予防するため少量でも抗精神病薬を服用し続けることを勧めます。
統合失調症の発病により認知機能が低下した場合でも、社会場面でどう振る舞うかを習得するための「生活技能訓練(Social Skills Training;SST)」や、対人接触・集団場面に慣れていく場としての「デイケア」や、社会復帰の前のリハビリテーションの場としての「就労支援事業所」などを利用することにより、能力の向上が見込めます。

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