「戻れるかどうか」ではなく、「どう戻るか」
休職中の方から、よく聞く言葉があります。
「もう少し休めば戻れる気がするんですが……」
その感覚は、間違いではありません。
ただし、それだけで復職を判断するのは、少し危ういこともあります。
復職は、体調が一時的に良くなったから可能になるものではありません。
「働く生活を、一定期間続けられるか」という視点が必要になります。
回復には段階があります
心の不調は、骨折のようにレントゲンで治癒が確認できるものではありません。
そのため、回復したかどうかが分かりにくいという特徴があります。
当院では、復職の判断にあたり、次の点を重視しています。
- 睡眠が安定しているか
- 日中の活動量が保てているか(生活のリズムができているか)
- 不安や抑うつが、波打ちながらも全体として落ち着いてきているか
「調子の良い日がある」ことと
「復職に耐えられる状態」とは、必ずしも一致しません。
復職を急ぎすぎた場合に起きやすいこと
復職が早すぎると、次のようなことが起こりがちです。
- 最初は問題なく働ける
- 数週間〜数か月後に再び不調が生じる
- 「やはり自分はダメなのでは」と自己評価が下がる
- うつや不安症状が再燃する。
これは、意志の問題ではありません。
患者さんへの負荷のかかり方が、回復段階と合っていないだけです。
当院で行っている復職支援
当院では、以下のような支援を行っています。
- 復職可否の医学的判断
- 職業適性の検査(心理検査、発達検査)
- 診断書の作成(休職診断書、業務に関する意見書など)
- 段階的な復職についての助言
- 復職後の通院フォロー
- 再発予防を目的とした面談
必要に応じて、職場環境や業務内容についても一緒に見直していきます。
復職は「許可を出す・出さない」という二択ではありません。
どの条件なら可能かを考える作業です。それは、患者さん、主治医、カウンセラー、職場の管理職や保健師などが一緒に考える作業になります。
こんな悩みがある方へ
- そろそろ戻らないといけない気がして焦っている
- 主治医と職場の意見が食い違っている
- 復職後、同じ状態を繰り返さないか不安
- 休職が長引き、判断がつかなくなっている
判断に迷っている時点で、相談する意味はあります。
心療内科医師として思うこと
働くことは、生活の一部であると同時に、
その人の価値を決めるものではありません。
復職は、元に戻ることではなく、
今の状態に合った働き方を探すことだと私は考えています。
焦らず、しかし放置せず、
医学的な視点も取り入れて、一緒に整理していきましょう。
