不眠症とスマホアプリ

昨今、何かとスマホを使って生活する人が増えています。ネット検索はもちろんのこと、ネットゲーム、「LINE」などのSNS、スケジュール管理など、何かとスマホが使われます。健康管理の面でも、スマホを万歩計に使うなど、便利になってきているようです。
しかし、「スマホのアプリで睡眠の質が悪いと出たので心配」と聞くと、ちょっと危険を感じます。
「睡眠の質」については、まだスマホのアプリ程度で本当に正確に測定できるものではありません。機械で睡眠の質を測るなら、最低でも睡眠時脳波などの検査が必要です。
しかし、そんな機械で測らずとも、「ぐっすり眠れてさわやかな朝を迎えて気持ちよかった」という実感を大事にすれば良いのです。
神田橋條治は、患者さん向けの本、『精神科養生のコツ』の序章で、「気持ちがいい」感覚を大事にすること、精神疾患が治ってきた実感は「気持ちがいい」というバロメーターで考えていけばいいと書いています。
スマホのアプリで「不眠症」と出て不安になる方は、「気持ちがいい」実感よりもアプリが打ち出す数字を信じ、コンピューター信仰に陥り、私たち生命体が持つ大事な実感を軽視し、私たちが皆持っている自然治癒力を阻害してしまっているように思います。もっと私たちの感覚を信じて良いのではないでしょうか。